第二次世界大戦 空軍の秘密基地 ヒューエンデン・マナー Hughenden Manor

ヒューエンデン・マナー(Hughenden Manor)はロンドンから車で1時間、バッキンガムシャー(Backinghamshare)にあるマナーハウスです。

 

ビクトリア女王のお気に入り ベンジャミン・ディスレーリ首相の邸宅

ヒューエンデンにマナーハウスが建てられたのは、1086年に遡ります。長らく王家の地所でしたが、1539年にサー・ロバート・ドーマー(Sir Robert Dormer)に引き継がれてからは、貴族や政治家たちの邸宅となっていました。

現在の邸宅は、1862年にエドワード・バクトン・ラム(Edward Buckton Lamb)の設計により建てられたものです。
もともとはジョージア様式の建物だったそうですが、エドワード・バクトン・ラムの手によりゴシック建築の要素を取り入れたアーチや窓が整然と並ぶ邸宅となりました。

 

ヒューエンデンに居を構えた人物のなかで最も有名なのは、ビクトリア時代にイギリスの首相を務めたこともあるベンジャミン・ディスレーリ(Benjamin Disraeli)です。

ビクトリア女王のお気に入り首相としても有名なベンジャミン・ディスレーリは、イギリス保守党の党首になってほどなく、この土地の名士として世に名を知らしめるためにヒューエンデンを購入しました。政治的なバッグボーンを作ることが主な目的でしたが、このヒューエンデンを購入するときに2.5万ポンド(現在の価値で150万ポンド)もの借金をしたそうです。

このディレーリという人物は借金してお屋敷を買うという発想をするだけあって、波乱万丈の人生を送っており、興味の尽きない人物なのです。

首相を二期にわたって務めた政治家としての波乱もさることながら、ユダヤ人であること、15歳の時に喧嘩騒ぎを起こして学校を退学になったため教育をきちんと受けていないにもかかわらず首相にまでなったこと、若い頃に投機で失敗して破産したこと、亡くなった友人の12歳も年上の未亡人と結婚したこと などなど・・・ 彼にまつわる話は枚挙にいとまがありません。

20年以上にもわたりビクトリア女王と親交を深めたベンジャミン・ディスレーリは、女王から数多くの品を送られました。邸宅内には、王家から送られた品々も展示されています。

 

6.4平方kmを誇る庭は、ベンジャミン・ディスラエリの妻であるマリー・アン・ディスレーリ(Mary Anne Disraeli)によってデザインされた当時を再現しており、丘陵地に森が点在しています。

 

 

ヒトラーも狙っていたイギリス空軍の秘密基地

ヒューエンデンを有名にしている理由は、ベンジャミン・ディレーリだけではありません。実は、このヒューエンデンは第二次世界大戦時にイギリス軍の秘密基地だったのです。

ヒューエンデンの地下室と敷地の一角にある アイス・ハウス(Ice House、氷を保存しておく小屋)は、第二次世界大戦当時『ヒルサイド(Hillside)』とういコードネームで呼ばれたイギリス空軍の秘密基地として利用されており、ドイツの鳥観写真を解析して地図を作るのが主な任務でした。

ヒューエンデンでは、作成した地図をもとに爆撃を落とす地帯を特定する任務も行われていたため、ヒトラーの攻撃目標地にリストアップされていたそうです。

アイス・ハウスは当時の様子を再現しており、暗い小屋の中で任務に従事していた軍人たちの生活を垣間見ることができます。

1947年、ナショナルトラストに寄贈

ヒューエンデンは、1947年に当時の所有者だったアビー家によってナショナルトラストに寄贈されました。1955年には邸宅がグレードI指定に、続いて庭もグレードIIに指定されました。

第二次世界大戦時に接収されて軍事基地化されていましたが、現在は邸宅も庭もディスラエリが住んでいた当時の様子を再現しています。

 

Hughenden Manor(National Trust)

URL https://www.nationaltrust.org.uk/hughenden

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